恋 文 日 和
………………………
何度も歩いた廊下を駆け抜ける。
だけど、人混みが邪魔をして
なかなか思うように進めない。
それでも
縺れる足は止まらなかった。
『さっき、他校の女が神楽の事訪ねて来てさ。』
『嘘!?どんな女!?』
桜井くんの言葉に、あたしよりも先に玲が反応する。
視界が、徐々に歪んでいくのがわかった。
『俺、ちゃんと見てなかったから、よくわかんねぇんだけど…。』
でも、と続ける桜井くん。
『リサさん、って神楽が呼んでた。』
気が付けば、あたしの足は地面を蹴っていて。
『頑張って、日和っ!!』
玲の声が、更にあたしの背中を押してくれた。
…お願い、お願い。
どうか、間に合って。
あたし、まだ何も伝えきれてない。
まだ、何も
気持ち伝えてないよ―――…