恋 文 日 和


だけどそれも無駄な努力に変わった。


よく考えてみれば
こうして誰かに好きだと言われたのは初めてで。

想いを寄せる事はあっても、まさか自分が誰かに想われているなんて…。




冷静になろうとしても
思考回路はすでにショートしてしまっている。

「菊井さん?」

「はっ、はいぃぃぃぃ!!」


ダメだ、心臓が口から飛び出しそうっ!!



「ふっ、やっぱ可愛いね、菊井さんって。」

「ふえ!?」

か、かわ、可愛い!?
あたしが!?



ひぃぃぃーーー!!



言われ慣れてない言葉に
顔に熱が集中する。


そんな顔を隠すように両手で頬を押さえていると

「…答え、聞かせてもらっても…いいかな?」

と、尋ねられた。



その瞬間、ふっと我に返るあたし。


そうだ。
告白を受けているって事は
あたしはこの人に“答え”を出さなきゃいけない。


「…菊井さん?」

俯いたあたしを、彼は心配そうに覗き込む。



あたし、は―――…






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