恋 文 日 和


………………………


気が付けば、外には木枯らしが吹き荒れ
喋る度に白い息がふわりと浮かんだ。

セーターの袖を丸め、移りゆく景色を眺める。


その時、終了を知らせるチャイムが教室に響き
みんなの顔に、安堵の色が見えた。



「やーっと終わったぁーっ!」

桜井くんが腕を伸ばし、体をほぐす。


「今回もいい点数取れそうだなー、俺!」

「今回もって、俊介全然勉強してなかったじゃん。」

「してたっつーの!そうゆう玲はどうなんだよ!」

「あたしはいつでも余裕ですから~。」


今日も相変わらず二人の言い合いから始まる。


そんな玲と桜井くんに笑っていると

「菊井はどうだった?テスト。いけそう?」

ふいに後ろから聞こえた声。


…神楽くんだ。



「うん、大丈夫だと思う。今回はちゃんと勉強したし。」

「そっかー。俺バイトばっかで勉強してなかったからなぁ。」

やべーな、と言いながら
神楽くんが頭を掻く。





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