恋 文 日 和
あれから
気温はぐんと下がり、季節は本格的な冬を迎えた。
それと共に訪れた期末テスト。
今回は桜井くんもバイトを始めてしまったから
みんなの都合が合わず、集まって勉強をする事はなかった。
しょうがないとはわかっていても
やっぱり寂しい。
4人で居る時間はあたしにとって、何よりも大切な時間で。
こうして笑い合える時間は、あとどのくらいなんだろう。
なんて、しんみりと考えてしまった。
「そう言えばさ、」
と、話を切り出したのは神楽くん。
「菊井、バイト戻って来ないの?」
「え……?」
思いもよらない質問に、あたしの古傷が疼き出す。
神楽くんは言葉を選ぶように言った。
「色々あったから言えなかったんだけど…。リサさんも辞めちゃったし。」
「リサさんが…?」
その名前に、あたしの心が反応して。
『好きなの、神楽くんの事。』
思い出したくない記憶の欠片が、塞がったばかりの古傷を突き刺して来る。