恋 文 日 和


「ちょっといい?」

と、三上くん。



「う、うん。」

立ち上がった瞬間、玲の視線を感じたけれど
気が付かない振りして扉に向かう。



そんな時

「菊井、」と呼びとめる声。



振り返ると
神楽くんが立ち上がって

「バイトの事、考えておいて。」

ポンと肩を叩き、三上くんを通り過ぎて教室を出て行った。



その後ろ姿から
つい、視線を逸らしてしまう。


「………………、」




あたしはまだ、三上くんの告白に答えを出せていない。


『傷つけたくない』なんて
いい子ぶってるみたいだけど、どうしても三上くんを邪険に出来なかった。


かと言って
三上くんの気持ちに応えられる訳じゃないのに…。




あたしは一体、どうしたいんだろう。




…神楽くんはどう、思ってる?






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