恋 文 日 和
あたふたと困惑していると
「ねー、超可愛い子が校門で誰か待ってるらしいよ!」
「マジ!?どこどこ!?」
そんな会話が廊下を駆け抜けた。
…可愛い子?
その瞬間
話し声に気を取られていたあたしに、いつの間にか三上くんがチケットを握らせて。
「じゃ、じゃあ、日曜日ね!」
「え!?ちょ、あの…っ!」
気が付いた時には、すでに遅かった。
あたしの手の中には
三上くんがくれた、1枚のチケット。
…嘘ぉ……。
風の如く消えた三上くんは、もう廊下のどこにも見当たらない。
改めてチケットを見つめてみる。
それは、今話題のアクション映画だった。
「どうしよう……。」
そんな独り言がざわめきに消されていって。
くしゃくしゃのそのチケットが、余計にあたしの胸を痛ませた。