恋 文 日 和
そう感じながら首を傾げていると
「何?何の騒ぎ?」
ちょうど教室に戻ってきた神楽くんが、あたしたち3人の元へ向かって来る。
ドキン、と胸が高鳴った。
「神楽、見てみろよ!校門に超可愛い子ちゃんが居るんだよ!」
「しかもF女っ!」
興奮した二人に
「F女の可愛い子ちゃん?何だそれ。」
呆れたように笑う神楽くん。
「いーから、ちょっと見てみろって!」
桜井くんに促されて、渋々窓の外を覗き込む神楽くんに
チクリと胸の奥が痛みを引き連れて来た。
小さな不安があたしを襲う。
そして、校門に向けられた彼の視線を伺っていると
「…神楽くん……?」
明らかにさっきまでの顔つきとは違っていて。
「美咲……。」
彼の唇から紡がれたその名前が
あたしの不安を大きくさせた。