恋 文 日 和
シンと静まった4人の空気に
「知り合い…っつーか、」
と、神楽くんの言葉が濁る。
だけどあたしは思い出してしまった。
あの日。
初めて神楽くんの家で、みんなとテスト勉強をしたあの日。
『神楽くん、何か落ち…、』
アルバムから落ちた、一枚の写真。
「…悪い、俺…。先、帰るわ。」
「え、おい!神楽!」
呼び止める桜井くんの声に、神楽くんは振り返らない。
遠ざかる、神楽くんの足音。
「日和……、」
肩に伸ばされた玲の手が、触れたその瞬間。
視界は、もう涙で埋まっていて。
――――寄り添う、神楽くんと女の子。
『美咲』と呼ばれたあの子は
あの写真に写っていた女の子だった。