恋 文 日 和


あの日から
足早に通り過ぎた秋は、木々を裸にして冬を連れてきた。


変わらないように見えても、季節と同じで
人の心は、変化を見せる。



「なぁ、今日帰りみんなでボーリング行こうぜ。」

「あ、いいねー!最近行ってなかったしね!」

桜井くんの誘いに、玲が賛同する。



…だけど、あたしは知ってるんだ。



「悪い、バイトあるから。」


俺はパス、そう言った神楽くんに

「えー、最近神楽ノリ悪くなーい?」

玲が唇を尖らした。



「…悪い、今度は行くよ。」



頬を撫でる風に、肩を竦めて瞼を伏せる。




そう、あたしは知ってる。


神楽くんが何かを隠してる事。

あたしたちには言えない、秘密がある事。



でも、あたしは気が付かないフリしてる。




……傷つきたく、ないから。






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