恋 文 日 和
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「はい、じゃあこのまま10分程度置きますね。」
大きな鏡越しに、スタイリストさんがあたしに笑い掛けてくれて。
明るい店内は陽気なヒップホップが流れ、ドライヤーの音にハサミが軽快なリズムで髪の毛を床に散らばらせてゆく。
「あ、あたしは少しすく程度でいいです。」
と、場慣れした様子の玲は隣で雑誌を広げてあたしに視線を向けた。
「どう?初めて髪染める気持ちは。」
「何か、頭熱い…。」
「あはは!何その感想!」
「何かピリピリするんだもん!」
笑ってる玲から再び視線を鏡に向けると、サランラップを頭に巻かれた自分がやけにバカっぽく見える。