恋 文 日 和
あの時、玲が電話していたのはこの美容院だったのだ。
まずは外見からっていう事で、真っ黒だった髪を染める事にした。
でも、初めて続きで戸惑ってしまう。
ママ、驚くかな…。
パパはきっと怒る気がする…。
だけど、変わりたい。
――玲がくれた勇気を、自信に変えたい。
そんな事を考えているとスタイリストさんが
手際よくシャンプーをして伸ばしっ放しだった髪を整えてくれた。
そして、鏡に映った新しい自分。
「この色、とてもお似合いですよ。」
スタイリストさんの笑顔に、待っていてくれた玲も笑ってくれる。
「うん!日和、可愛いよ!」
「ほ、本当?」
鏡には、見慣れない自分の姿。
何だか妙に恥ずかしくて目を逸すと
「んじゃ、次行こ!」
「えっ!?つ、次!?」
玲が強引にあたしの腕を引っ張って外へと連れ出した。
「ありがとうございました~。」
なんて、呑気に手を振るスタイリストさんの声を耳にしながら。