恋 文 日 和
「そう……。」
ずずっと鼻を啜り、ポツリポツリと口にした言葉を
玲は残らず全て拾ってくれた。
静かすぎる空気が、部屋全体を包む。
でも、玲がくれる沈黙は
何だか温かい。
玲は、あたしの言葉に
その場しのぎの慰めなど与えない。
だからきっと、この沈黙さえ玲の優しさだと理解する事が出来るんだ。
「昨日ね、」
少し躊躇いがちに玲が口を開いた。
あたしは未だ濡れた瞳で
玲に視線を上げる。
「…神楽から、メール来たよ。」
「え……?」
神楽くんの名前に、心臓が揺れた。
玲は買ってきてくれたプリンを、袋から取り出しながら呟く。
「…初詣みんなで行こう、って。」
「……みんな、で…?」
「うん。」
そして、プリンをあたしの前に置いた玲が
「俺から誘っても、菊井は来てくれないんじゃないかって…心配してた。」
言いながら、はい、とスプーンを差し出した。