恋 文 日 和
「んもー、動かないでってば!」
「だって、何かくすぐったいー!」
連れて来られたのは何故かあたしの家。
いや、その前にドラックストアで大量の化粧品を買わされた。
「ったく、本当に化粧品一つ持ってないなんて。それでも女の子?」
「リップは持ってるよ?」
「リップは化粧品のうちに入らないから!」
そして今、ぶつくさと文句を言われながら
玲にお化粧されてるあたし。
だけどこれがとてもくすぐったい!
睫毛にマスカラを塗られて、瞼が重たいし…。
大人になったらみんなこんな事しなきゃいけないの?
う~、女の子って大変。
あ、そう言うあたしも女の子なんだけど…。
「よし、出来た!」
と玲の掛け声を合図に目を開ける。
「うーん、我ながら天才かも。ほら、鏡見てみなよ!」
なんて自画自賛する玲に促され、手鏡で自分の姿を確認した。