恋 文 日 和
「ね、可愛いでしょ。」
一緒に鏡を覗き込む玲。
あたしはそっと自分の顔に触れてみた。
ほんのりとピンクに色付く頬。
ちょっとだけ大きくなったような瞳。
少しだけ茶色く色付いた髪の毛が、表情を明るく見せた。
「ありがと、玲…。」
……まるで自分が、自分じゃないみたい。
16年間生きてきて、今日初めてそう思った。
「日和はさ、もったいないよ。」
「え?」
ポツリ、と聞こえた玲の言葉に、手鏡から視線を外して振り返る。
「元がいいからさ、化粧なんかしなくても全然可愛いけど。」
ふふ、と笑った玲は
手際よく化粧品を片付けながら続ける。
「でもやっぱ、可愛くなりたい、そう思って努力しなきゃ。好きな人の為に、ね。」