恋 文 日 和
素直に嬉しかった。
みんなの笑顔が、自信を持てなかったあたしの心を溶かしてゆく。
それが少しずつ、自分への自信に変わる。
そして
「おはよー、」と背中に聞こえた声に振り返ると
「えぇ!?もしかして、菊井さん!?」
大袈裟に驚いた桜井くんがカバンを落として一歩後ろへ下がった。
「俊介、驚きすぎなんだけどー!」
あはは、と玲が笑ってあたしもつられて笑顔をこぼす。
「いや、だってさ!」
慌てる桜井くんから視線を逸すと、ヘッドフォンで音楽を聞く神楽くんが遠くに見えた。
…ひっっ!!
咄嗟に玲の背中に隠れるあたし。
誰よりも、何よりも
あたしの変化に気が付いて欲しいはずなのに
心と体は反対の行動を取ってしまう。
「何、日和どうしたの…っあ!」