恋 文 日 和


息があがる。
呼吸が途切れ途切れで、立ってるのもやっとで。



それでも、力を振り絞り三上くんの姿を探した。



その時、ちょうど昇降口の出入り口に寄り掛かる三上くんが見える。


…大丈夫。

いつもみたいに唱え
すぅ、と空気を肺に取り込んで
一歩づつ、三上くんの背中へ近付く。



きっと、三上くんはわかってくれるはずだ。

根拠なんてないけれど
あたしはこの恋を通して、色んな事を知った。


想いが強ければ強い程
気持ちは伝わるんだって。

不器用でも、かっこ悪くても
一生懸命に想い続ければ、想いは届くって。



だから、三上くん。

わかって、くれるよね?




徐々に縮まった距離に、あたしはもう一度大きく息を吸った。


そして意を決し、三上くんの背中に声を掛ける。

「三上く、」

だけど、それは彼に届く前に
あたしは聞いてしまった。



「わかってるよ、美咲。」


彼の笑顔に隠されていた、真実を。






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