恋 文 日 和
『美咲』という名前に、あたしの足が止まる。
…聞き間違い?
それとも、ただの人違い?
だけど、彼は確かに言った。
神楽くんと同じように
『美咲』と。
あたしは声を掛ける事を止め、三上くんの言葉に耳を傾けた。
「俺に任せておけって。」
どうやら、三上くんは電話で誰かと話しているようだ。
すぐ後ろに居るあたしに気が付かないまま
彼は会話を繋げる。
「美咲は安心して神楽と会えばいい。」
ドクン、と心臓が鳴った。
…どうゆう、事?
紡ぎ出される言葉の意味が理解出来ず、あたしは立ち尽くす。
目の前が、歪んで。
…まさか、そんな―――…
目眩がして、思わず柱に手をついた。
そして――――……
「菊井さんは、俺が引き止めておくから。」
全ての線は、繋がった。