恋 文 日 和


顔を上げて、目の前の背中を見つめた。




でも、怖い。
告白して、フラれたとしたら

ちゃんと
“友達”に、戻れる?



…ううん、きっと無理だ。

神楽くんがよくても、あたしには耐えられない。


告白をしたら、もう元には戻れない。
神楽くんだって意識するだろうし、きっと気を遣う。

それで、ぎこちなくなって
結局、友達にも戻れなくて…。



書き写そうとして
手にしたシャーペンの芯が
真っ白なノートの上でポキ、っと力なく折れる。



まるで、この関係が崩れてしまうみたいに
簡単に芯は折れた。



コロっとシャーペンを置いて
額に両手をつく。




そんなの、あたしには無理だよ…。


友達としてでもいい。
恋愛対象じゃなくったって構わない。

だから、その笑顔をずっと傍で見ていたい。



そう思うのは、あたしの我儘。


本心は違うくせに。

あたしを見て欲しい、同じように好きになって欲しい。


そう思ってるくせに、あたしは逃げてるんだ。



嘘をついてでも
傍に居たい、って思うから。







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