恋 文 日 和


「日和、」

心配そうな玲の声があたしの背中を引き止める。


振り返ると、玲同様に心配そうにあたしを見つめる神楽くんの視線がぶつかった。

その真っ直ぐな瞳に、あたしの心が揺れる。




…神楽くん。

いつまでも、逃げてちゃダメなんだよね。


あたしは弱虫だから
泣いて落ち込んでばっかりで、こんなにもみんなに心配かけてる。

だからね、あたし…。



ちゃんと、向き合ってみるよ。

傷ついても、挫けそうになっても
あなたと、みんなの笑顔の傍に居たいから。




「…心配、しないで。」

「日和……。」



にこっと笑って、あたしは言った。

「すぐ、戻るよ。」



大丈夫。

あたしはまだ、頑張れる。




踵を返し、少し先で待つ三上くんに駆け寄って

「行こう、三上くん。」

振り返る事なく、あたしは歩き出す。




もう、大丈夫。

傷ついた羽でも
まだ飛べるはずだから。



何度でも
あたしは、飛んでみせるよ。



何度でも、いくらでも。




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