恋 文 日 和
三上くんの話はこうだ。
美咲さんは小さい頃から体が弱く
心臓に疾患を抱えていた。
発作や呼吸困難になる事もしばしばあって
それが災いしてか、内気な性格になってしまった。
病気のせいで、学校を休みがちだった美咲さん。
だけど、ある日を境に
よく笑うようになったという。
「…何でだと思う?」
話を一旦止め、三上くんはあたしに問い掛ける。
「……神楽くんに、出会ったから?」
「…正解。さすが、同じ相手に恋してるだけあるね。」
冗談っぽく、三上くんは言った。
でもその顔は
すぐに真剣な顔つきに変わる。
「神楽に出会って、あいつは変わったよ。」
過去を振り返るように、三上くんが空を見上げた。
「よく笑うようになったし、可愛くなった。」
でも…、と呟いて視線を下げた彼に
「…でも…?」
答えを急ぐあたし。
知りたかった。
真実を全部、聞いておきたかった。
じゃなきゃ、あたしは進めない。
踏み出せないから。