恋 文 日 和
それまで冷静だった三上くんが
言葉を詰まらせる。
その横顔を見つめ、ふと感じた事。
…もしかして
三上くんは美咲さんを…?
ううん、もしかしてじゃなくて
絶対そうなんだ。
じゃなきゃ、彼の悲しい瞳の理由がわからない。
心の中、一人でそう結論付け
再び語り始めた三上くんに、視線を這わせた。
「美咲の病気は、思ったよりも深刻でさ。」
「…………。」
「この辺の病院じゃ、美咲の病気の進行を遅らせられても、心臓を治せる医者は居なかった。」
ポツリ、ポツリと三上くんの口から語られる真実。
それは、あたしが思うよりも
もっと、ずっと重たい問題で。
「だから、美咲の両親はアメリカに行く事に決めたんだよ。」
「…アメリカ?」
「移植手術。知ってるだろ?アメリカは日本よりも医療が発達してるからね。」
…移植、手術。
聞き慣れない言葉が
あたしの心に突き刺さる。
「だけど、あいつは言ったんだ。」
強くなった三上くんの口調に、あたしは下げていた視線を持ち上げた。
「アメリカには行かないって。」
「え……?」