恋 文 日 和


三上くんの言いたい事がわからない。


神楽くんが、美咲さんからのチョコを受け取らなかった意味?



「…わかんない。」

チョコレート、嫌いだから?


そんな訳ない。絶対ない。
神楽くん、甘いのは好きだって言ってたもん。



「わかんないの?」

「…うん。」


頷いたあたしに

「じゃあ、本人から聞いたら?」

そう言って三上くんは結局教えてくれなかった。




「もー、教えてくれたっていいのにっ!ケチーっ!」

「あはは、ごめんね!」

「いいけどっ!じゃあねーっだ!」

ぷいっと顔を背け、あたしは再び歩き出す。



「菊井さん!」


振り返ったあたしに

「頑張ってね!」と優しい三上くんの笑顔。



「…ありがとう。」


何だか不思議。
騙されてたって知ってから
こうして三上くんと笑い合えるなんて。

歩きながら、微笑んでる自分に気が付いて。




「…本当は、君に惹かれてたなんて…言えねーし。…俺、情けねぇーなぁ。」



そう呟いた三上くんの言葉は
あたしには届かなかった。





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