恋 文 日 和


想いが交差して
複雑に絡まった糸は、ようやく解けた。


あとは
この、気持ちだけ。



揺るがない想いを
あなたに、伝えるだけ。


今度こそ、ちゃんと言えるかな。

ちゃんと、届けられるかなぁ。





静かな教室で
お経のような先生の声があたしの瞼を重くした。

ふっと横に視線を伸ばすと桜井くんは机に伏せ、堂々と居眠りをしている。


玲もそれに倣い、両手で頭を支えながら瞼を閉じていて

あたしは再び視線を前に戻した。



頬杖をついているのか、神楽くんの背中は窓際に向かって斜めに曲がっている。


だけど少しだけ動く右肩が

黒板の文字を書き写しているのだと教えてくれた。




…偉いなぁ。


みーんな、退屈に負けて携帯をいじったり
玲や桜井くんみたいに寝ちゃうのに

神楽くんはいつも、真面目に授業を聞いてる。



寝てる時もたまにあるけれど、それは聞かなくてもいいような授業の時だけで

ほとんどはこうして
真剣に受けてるもんなぁ。



…うぅ~、あたしも頑張って寝ないようにしなきゃっ!


ペチペチと頬を叩いて、眠気を吹き飛ばそうとしていた

その時。



< 327 / 341 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop