恋 文 日 和
想いが交差して
複雑に絡まった糸は、ようやく解けた。
あとは
この、気持ちだけ。
揺るがない想いを
あなたに、伝えるだけ。
今度こそ、ちゃんと言えるかな。
ちゃんと、届けられるかなぁ。
静かな教室で
お経のような先生の声があたしの瞼を重くした。
ふっと横に視線を伸ばすと桜井くんは机に伏せ、堂々と居眠りをしている。
玲もそれに倣い、両手で頭を支えながら瞼を閉じていて
あたしは再び視線を前に戻した。
頬杖をついているのか、神楽くんの背中は窓際に向かって斜めに曲がっている。
だけど少しだけ動く右肩が
黒板の文字を書き写しているのだと教えてくれた。
…偉いなぁ。
みーんな、退屈に負けて携帯をいじったり
玲や桜井くんみたいに寝ちゃうのに
神楽くんはいつも、真面目に授業を聞いてる。
寝てる時もたまにあるけれど、それは聞かなくてもいいような授業の時だけで
ほとんどはこうして
真剣に受けてるもんなぁ。
…うぅ~、あたしも頑張って寝ないようにしなきゃっ!
ペチペチと頬を叩いて、眠気を吹き飛ばそうとしていた
その時。