恋 文 日 和


え…?


ポン、とあたしの机に投げられた紙切れ。

くしゃくしゃに丸められたそれを手に取り
神楽くんの背中を見つめる。

だけどその背中は何も答えない。



首を傾げながらも
丸まったルーズリーフを開いてみた。

真っ白なそれには
神楽くんの文字でたった一言。




『元気?』

と、書かれていた。



…何これ…。

おかしくて、思わず噴き出してしまいそうになった。



神楽くんの意図がわからないまま
あたしもその紙に色ペンで書き記す。



『元気だよ。どうして?』

同じように丸め、神楽くんの机へ慎重に投げた。

前を向いたままの神楽くんの背中から
カサカサと紙を開く音が聞こえる。




しばらくして
再びあたしの元へ投げれた紙切れ。


『いや、元気かなーと思って。』

なんて、シンプルな言葉。



だけど、その一文字が今のあたしには嬉しくて。

神楽くんの優しさが
あたしの心に浸透してゆく。




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