恋 文 日 和
きっと、心配してくれてるんだ。
あの日、三上くんに呼ばれたあたしを
神楽くんは気にしてくれてたから。
優しい、なぁ。
きゅんと胸が音を立て、紙を見つめるあたしに笑顔が浮かぶ。
それから、あたしと神楽くんはルーズリーフの上で会話を繰り返した。
『直接言ってくれればいいのにー。』
『そうなんだけど、いつもあいつらが居てあんま話せないからさ。』
『玲と桜井くん?』
『そう。うるさいんだよ、あいつら。』
文字から伝わる神楽くんの気持ちに
ふふ、と笑顔がこぼれる。
あたしはペンを走らせ、先生の目を盗み
神楽くんに紙切れを投げた。
『でも、二人とも優しいよね。』
『二人ともって、俺は?』
『もちろん、神楽くんもだよーっ!』
『あ、慌ててる。文字が動揺してるぞ!』
『そんな事ないってば!』
…何でだろう。
いつもは緊張して上手く話せないのに
紙の上だと、神楽くんの言葉に、自分の言葉を繋げられるんだ。