恋 文 日 和
『そのままで、聞いて下さい。』
神楽くんの文字の下に、あたしが書いた言葉。
それを見て、神楽くんは首を傾げてる。
あたしはそっと、その背中に手を伸ばした。
震える人差し指が背中に届く。
あたしの指先を感じ、神楽くんの動きが止まったのがわかった。
そして神楽くんの背中になぞった言葉。
指先に、全ての想いを込めて。
ただ、一言。
たった、二文字。
『ス キ』
あたしが、今
神楽くんに言いたい言葉。
伝えたかったのは、それだけ。
それ以上の言葉なんて
あたしには何もなかった。