恋 文 日 和


指先を神楽くんの背中から離すと
どっと汗が噴き出てきた。

震えが止まらない。



…言ってしまった。

ついに、伝えてしまった。



怖くて顔が上げられなくて。
だけど、指先に残る神楽くんの温もり。

それがあたしの緊張を更に高めて
ポン、と戻ってきた紙切れに、ついに思考は停止した。



“答え”が、そこにはある。


今、あたしの目の前に。



息を飲み、これでもかって程に震える手を紙切れに伸ばす。



「よし、じゃあ今日の授業はこれで終わりだ。」

先生の声に
玲と桜井くん、クラスメートが跳ねるように起きた。


だけどあたしに
先生の声は届かない。


カサ、と音を立て
ルーズリーフを開いてゆく。




そして―――――…








< 334 / 341 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop