恋 文 日 和
ガタガタとみんなが席を立つ。
だけどあたしは立てなかった。
「…日和?」
異変に気が付いた玲があたしに近寄って来る。
「どうした?具合悪いの?」
玲の手が背中に置かれ、あたしは黙ったまま首を横に振った。
ぎゅっと握り締めたルーズリーフを手に
ゆっくりと顔を上げ
そして、立っている神楽くんを見上げる。
「…本当、に……?」
震えたあたしの声に、神楽くんは笑って言った。
「本当だよ。」
その言葉で
あたしの涙線は完全に崩壊してしまう。
「日和!?ちょ、神楽!日和に何したのよっ!」
「さぁ~?」
おどけた神楽くんの声。
「日和?大丈夫?何されたの?あたしに言ってごらん!」
玲の言葉に、あたしは首を振った。
手にした紙切れに、ぽたりと落ちた涙。
『俺も、菊井が好きだよ。
ずっと、好きだった。』
だけどこれは、きっと幸せの涙。