恋 文 日 和


………………………




―――それから数日後。



「遅いね~、何してんだろ二人とも。」

いつになく不機嫌そうな玲が落とすようにぼやく。


しばらくして
夕焼けの差し込む教室に、バタバタと慌ただしい足音。



「悪ぃ!待った!?」

桜井くんだ。



「当たり前じゃん!もー!…って、神楽は?」

「昇降口で待ってる。」

「そ!じゃあ行こ、日和。」

「うん!」

立ち上がり、カバンを持ってみんなで教室を出る。




「遅えーよ!」

昇降口に行くと、下駄箱に寄り掛かった神楽くんが
あたしたちを見て言った。


「それはこっちの台詞ー。ねぇ、日和?」

「え!?あ、う、うん!」

突然話を振られ、あたしはうわずった声を出す。



そんなあたしを見て
神楽くんは優しく微笑んだ。



「あーあ、そこの二人、いちゃつくの禁止ー。」

「べ、別にいちゃついてなんかねーよっ!」

「あ、神楽顔が赤いよ~!」

桜井くんと玲の冷やかしに、神楽くんが憤慨した様子で反抗して見せる。


あたしはそれを笑いながら見つめていた。





< 336 / 341 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop