恋 文 日 和
………………………
―――それから数日後。
「遅いね~、何してんだろ二人とも。」
いつになく不機嫌そうな玲が落とすようにぼやく。
しばらくして
夕焼けの差し込む教室に、バタバタと慌ただしい足音。
「悪ぃ!待った!?」
桜井くんだ。
「当たり前じゃん!もー!…って、神楽は?」
「昇降口で待ってる。」
「そ!じゃあ行こ、日和。」
「うん!」
立ち上がり、カバンを持ってみんなで教室を出る。
「遅えーよ!」
昇降口に行くと、下駄箱に寄り掛かった神楽くんが
あたしたちを見て言った。
「それはこっちの台詞ー。ねぇ、日和?」
「え!?あ、う、うん!」
突然話を振られ、あたしはうわずった声を出す。
そんなあたしを見て
神楽くんは優しく微笑んだ。
「あーあ、そこの二人、いちゃつくの禁止ー。」
「べ、別にいちゃついてなんかねーよっ!」
「あ、神楽顔が赤いよ~!」
桜井くんと玲の冷やかしに、神楽くんが憤慨した様子で反抗して見せる。
あたしはそれを笑いながら見つめていた。