恋 文 日 和


ふふ、と笑った玲は

「日和がくれなかったからだってー。」

そう言ってツンとあたしを肘を突いた。



「…嘘、本当に?」

「らしいよ?しかも、俊介がキットカットもらったって言ったら落ち込んでたらしいし。」

「…………。」

「んもー、ラブラブなんだからーっ!」

からかった玲は、パタパタと靴を鳴らして前を歩く二人に駆け寄ってゆく。



あたしはその後ろ姿を、呆然と見送っていた。





そして

「何話してたの?」

「っきゃ!」

ぼーっとしていたあたしの視界に
突然現れた神楽くんの笑顔。



びっくりして間抜けな声をあげたあたしに

「そんなに驚く?」

と、神楽くんがお腹を抱えて笑っている。



一気に加速し始めるあたしの鼓動。


「か、神楽くんが突然声掛けるからっ!」

「あはは、ごめんごめん。」


ポン、と頭を撫でる神楽くんに
思わず、口から心臓が出そうになった。







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