恋 文 日 和
二人を包む放課後の声。
カキーン、と野球部の方から爽快な音が鳴り響いて、あたしはポツリと呟いた。
「ありがとう。」
「え?」
あたしの言葉に、玲が寄り掛かっていた体を起こす。
そしてあたしは、もう一度
「ありがと、」そう言って玲に笑顔を向けた。
玲、あたしね
本当に嬉しかったんだ。
自信のないあたしの為に玲が色々と考えてくれた事。
お化粧の仕方すら知らないあたしに、玲は一から丁寧に教えてくれて。
こんな色の似合うよ、とかこうしたら自然な感じになるよ、って一晩中あたしのお化粧の練習に付き合ってくれた。
神楽くんに、期待してたような言葉を掛けてもらえなかったとしても
それだけで、あたしはもう充分だよ。
だからね、玲。
あたし、玲が親友で本当によかった。
そう、思ったんだ。