恋 文 日 和
「だから、ありがと!」
「…日和……。」
そう言って笑ったあたしに、玲は俯いて小さく鼻をすすると
「やだなー、ありがとうなんて!まだこれからじゃん!」
バシっとあたしの肩を叩いて、教室へと足を向けた。
「ほら、もう帰ろ!」
「うん!」
あたしも続いて玲の背中を追う。
そんなあたし達に、春の優しい風だけが流れていった。
………………
「あ、日和。あたしちょっと職員室行かなきゃいけないからちょっと待ってて?」
「うん、わかったー。」
その後、教室を出たあたし達。
職員室へと向かった玲を見届けて、時間を確認しようとあたしはポケットを探った。
…あれ?
携帯、どうしたっけ?
制服のポケットを全て探ってみるけど、それらしき物はなくて。
カバンを開けて中を漁ったその時。
…あ、机の中に置きっぱなしだ!