恋 文 日 和
3
奇跡が起こった。
『…でも、可愛いって思ったんだ、本当に。』
神楽くんが、あたしを
イメチェンしたあたしを
『可愛い』って、そう
言ってくれた。
嬉しくて、嬉しくて。
もしかしたら、あたし
一生分の奇跡を使い果たしてしまったのかもしれない。
菊井 日和は、今。
世界一幸せでっす!!
「てか、ニヤつきすぎ。」
「へっ!?」
制服も長袖から半袖に変わった湿っぽい梅雨の季節。
古文の授業は自習になって
騒がしい教室の端で、頬杖をついた玲があたしを見てそうぼやいた。
「思い出してニヤけるのは自由だけど、傍から見るとただの怪しい子だよ?」
「だ、だってぇ…。」
嬉しいんだもん!!
抑えようとしても、勝手に顔が緩んじゃうんだもーん!
……って、やっぱりあたしって
怪しい…?