恋 文 日 和


「てか、お腹空いたよな。俺、母さんに言って来る。」

「いつも悪いな。」


一通り勉強を終えたあたし達は
神楽くんの一言で、シャーペンを持つ手を止めた。

パタン、と扉が閉まり
足音が遠ざかる。



「あー、これで期末余裕だろー。」

「かなり頑張ったもんね。」

ぐっと体を伸ばす桜井くんに続き、玲も肩に手を置いてグルリと首を回す。


一方のあたしは、神楽くんが教えてくれた数式を見て、一人で緩む頬を耐えた。


神楽くんはすごく頭がいい。

特に数学が得意で
あたしがわからないと言った問題を一から丁寧に教えてくれた。

あたしのノートに神楽くんの文字。


きっと、このページを見る度に、あたしはニヤけてしまうに違いない。



そんな時

「お、いい物発見!」

と声を上げた桜井くんに視線を向けると
分厚い冊子のような物を持ち上げた彼が、あたしに手招きして来た。


「何?」

「神楽の中学のアルバム。」

ア、アルバム!?




< 49 / 341 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop