恋 文 日 和
「てか、お腹空いたよな。俺、母さんに言って来る。」
「いつも悪いな。」
一通り勉強を終えたあたし達は
神楽くんの一言で、シャーペンを持つ手を止めた。
パタン、と扉が閉まり
足音が遠ざかる。
「あー、これで期末余裕だろー。」
「かなり頑張ったもんね。」
ぐっと体を伸ばす桜井くんに続き、玲も肩に手を置いてグルリと首を回す。
一方のあたしは、神楽くんが教えてくれた数式を見て、一人で緩む頬を耐えた。
神楽くんはすごく頭がいい。
特に数学が得意で
あたしがわからないと言った問題を一から丁寧に教えてくれた。
あたしのノートに神楽くんの文字。
きっと、このページを見る度に、あたしはニヤけてしまうに違いない。
そんな時
「お、いい物発見!」
と声を上げた桜井くんに視線を向けると
分厚い冊子のような物を持ち上げた彼が、あたしに手招きして来た。
「何?」
「神楽の中学のアルバム。」
ア、アルバム!?