恋 文 日 和


だけど、恐る恐る顔を上げたあたしの視界に映った神楽くんの顔は、怒ってるとか、そうゆんじゃなくて。


もしかして…。



「神楽くん、照れ…てる?」


尋ねたあたしに、

「…中学の頃、俺チビだったし…。」

耳まで真っ赤に染まった顔を隠すように、背を向けた神楽くん。


それって……。



「…っぷ!」


話を聞いていた玲が、突然吹き出して

「あはははは!!」

と豪快に笑った。


「んだよー、そんな理由かよ!」

つられて笑ったのは桜井くん。



「そんな理由って何だよ!」

「だって!あはは!」

お腹を抱えて笑う桜井くんは、玲と顔を見合せてゲラゲラと笑い続ける。


「てっきり本気で怒ってるかと思ったじゃん!」


言った玲に

「本気で怒ってるよっ!」

と憤慨した様子で神楽くんはテーブルに置いてあったコーラを一気飲み干した。




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