恋 文 日 和
テストを無事に終え、迎えた放課後。
「どうだった?」
玲があたしの机に寄りかかって尋ねた。
「まぁまぁ、かな。」
えへへ、と曖昧な笑みを返す。
少し離れた場所で、神楽くんの笑う声が聞こえて、チクリと胸が痛んだ。
そんなあたしを、玲が見逃さずに呟く。
「…気にしてるの?写真の事。」
「…………。」
気にしてない、なんて
そんなすぐバレるような嘘はつけなかった。
嘘をついたって、あたしの心は正直で。
神楽くんの声も、笑顔も何もかも
今はあたしを傷つける凶器でしかない。
胸が、痛い。
あの写真の神楽くんが
あの、笑顔が
あたしの心を切り裂いていく。
でも、泣けないのは
ここが学校だと、冷静な頭で理解してるから。
…泣いたら、少しは
気持も軽くなるのかな。