恋 文 日 和


恥ずかしさのあまり、両手で顔を覆うと

「…ぶっっ!」と頭上から噴き出すような笑い声が聞こえてあたしは視線を上げた。




「…いや、マジごめ…、くくっ!」

見上げると、お腹を抱えた神楽くんが下駄箱に寄り掛かって笑いを堪えてる。


あ、あれ?
何か、よくわかんないけどこれでよかったのかな?

相変わらず煩い鼓動を感じながら、上手く回らない頭を動かして考える。



そしてひとしきり笑った神楽くんは

「名前、」そう言ってあたしに視線を下げた。


「名前、何て言うの?ごめんね、まだみんな覚えられなくて。」

「え?あ、あたしは、えっと…。」

緊張のあまり思考回路が遮断される。


自分の名前が言えないなんて致命的。



て言うより、バカ?



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