恋 文 日 和
テスト一日目。
こんな気持ちで、帰っても勉強なんかする気になれない。
一人になるのが、怖い。
泣いたら、不安は大きくなって、たちまちあたしの心を支配してしまうんじゃないか。
それが、怖いんだ。
俯いたままのあたしに、玲がそっと顔を覗き込んだ。
「…そんなに気になるなら、あたしが聞いてあげようか?」
優しさと共に、肩に置かれた玲の温もり。
それが、またあたしの涙を誘って。
「…ううん、大丈夫。」
「でも、」
「本当、平気!あたし、気にしすぎだよね!」
そうだ、あんなのただの友達だよ。
ちょっと寄り添ってるからって、親しく見えるからって
深い関係だって思うあたしが、考えすぎなんだ。
バカだな。
恋は、楽しい事だけじゃない。
苦しくて、辛くて。
そんな事、たくさんあるよ。
ただ
神楽くんと過ごした時間が、幸せ過ぎて。
ちょっと仲良くなれたからって
浮かれ過ぎてたんだ。
「ありがと、玲…。」
大丈夫。
大丈夫。
こんな不安に負けたりなんか、泣いたりなんか
してやらない。
こんな事で落ち込んだりなんか、してやらないんだから。
神楽くんが好き。
それだけで、あたしは強くなれるんだもん。
強く、なるんだもん。