恋 文 日 和
大きくなりつつある不安を懸命に押さえ込みながら、テストは最終日を迎えた。
神楽くんとは、たまに会話を交わしつつ
あの写真の子が誰かもわからないまま、下手くそな笑顔ばかり振りまいてた。
そんな中
季節は本格的な夏を迎える準備を整えながら、少しずつ暑くなる風を連れてきて。
そして
更に、あたしをどん底へと追いやる
―――夏休み。
ゆっくりと、だけど確実に
目前にせまっていた。
「テスト終わったらもーすぐ夏休みかぁ。」
頬杖を付いてる反対の手でシャーペンを動かす玲が呟く。
「…そうだね。」
よく見ると
漢字を復習していたはずの玲のノートには
不細工なブタの絵。
聞いたら、
「ネコだけど!」と返された。
とてもじゃないけど
ネコには見えないその下手な絵が、あたしに笑顔をくれる。