恋 文 日 和
そんなあたしに気が付いた玲が
「おお~い、日和ちゃーん?」
言いながら、シャーペンの先であたしのほっぺたをつっ突く。
「う、う!?」
慌てて我に返ると
溜め息混じりに吐き出された、言葉。
「携帯、聞けば?」
「へっ?」
け、けーたい?
向かい合っていた距離をぐぐっと縮めて、顔を近付けた玲は
「携帯、まだ聞いてないんでしょ?」
力強い目であたしを見つめる。
目、怖いんですけど…。
思わずたじろぐあたしに玲は構わず口を開いた。
「聞いて、夏休みデートに誘えって言ってんのっ!」
ペチン、と軽快な音が鳴って
「デ、デ、デート!?」
はたかれたおでこが感じた痛み。
だけど痛みよりも、玲が口にした言葉があたしの頭を混乱させた。