恋 文 日 和
「てか、何よ“日和ちゃん”って。」
「いいじゃん、名前の方が親しみやすいだろ?」
「うっわ、キモー!」
うるせーっ!と再び言い合いを始めた二人に
「ちょ、ちょっとぉ!二人とも、落ち着いてっ!」
珍しく仲裁に入ったあたしは、桜井くんに尋ねた。
「あ、あたしに用って?」
「あー、それなんだけどさっ!」
玲に向けてた体をあたしに向き直す。
そして、ニッと愛嬌のある笑顔を見せた桜井くんは言った。
「夏休み、一週間バイトしない?」
「へっ?バ、バイト?」
そう!と大きく頷く桜井くんに、あたしは首を傾げる。
「実はね、俺ん家ペンション経営してるんだけどただでさえ人が少なくて夏休み前だってのに、従業員が入院しちゃってさぁ。」