恋 文 日 和


「て言うか、日和。」


ふいに名前を呼ばれ
「ん?」と、視線を横に向けると

「神楽に携帯、聞いた?」

玲が一言。


う…っ。

「何?日和ちゃん、神楽の携帯知らないの?」

すかさず桜井くんが突っ込んでくる。


だ、だって…。
そんな事言われても、さぁ…。


騒がしいお昼休みの教室で、小さくなるあたし。
生温い風が、カーテンを揺らして玲は大きく溜め息をついた。

「日和。あたし、喉乾いたかもー。」

「え?」

そう呟いた玲の前には、飲みかけのお茶が置いてあって。


「何か冷たいの飲みたいなー。ね、俊介!」

笑顔のまま、話を桜井くんに振った。


その玲の問いかけに

「あ?…あーうん!俺も、喉乾いたなー。」

なんて不自然に頭を掻いた桜井くん。


それって、まさか…。

「と言う訳で、日和!自販機へレッツゴー!」


あぁ、やっぱりそうなるのね…。







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