恋 文 日 和
…お茶と…。
あれ?桜井くんって、何飲むんだろ?
うーん…いつも何飲んでたっけなぁ…。
玲たちに促され、自販機へ向かうあたしは首を捻りながら廊下を進む。
昼休みの廊下は行き交う人も多くて、出来る限り端に寄って歩いた。
『絶対、携帯聞いてくるんだよ!』
教室を出る直前、玲に言われた言葉。
『日和ちゃん、ファイト!』
なんて、呑気にガッツポーズする桜井くんを思い出す。
うう……。
何か緊張してきたぁ…。
そもそも、何て聞けばいいの?
『携帯、教えて下さい!』とか?
……直球すぎるよね、うん。
『あたしの番号、知りたい?』とか?
……いやいや、何で上から目線なのよ!
あぁ~やっぱ無理っ!
階段を下りながら、ドキドキと煩い心臓を押さえる。
それは足を進める度に加速を増して、心なしか冷や汗が出てきたように感じた。
だけど……。