恋 文 日 和


「おはよ、菊井さん。」

「おっ、おはよ!」



下駄箱で話したあの日から、神楽くんはあたしに挨拶してくれるようになった。

だけど未だに上手に返せないあたし。



だって緊張しちゃう。

今までは神楽くんを見掛けるだけで嬉しくて。


今日は何回廊下ですれ違ったとか、今日は一度も会わなかったなぁとか

そんな事ばっかり考えてたのに、今はこうして挨拶を交わせるくらい近くに居る。



それどころか、あたしの存在を知ってくれてる訳で……。

これって、すごい進歩じゃない!?





「日和、顔が思いっきり緩んでるよ。」

「えっ!?嘘!?」

「本当。わかりやすいよね~日和って。」

言いながら机にカバンを置いた玲がニヤリとあたしに意地悪な笑顔を向ける。



うぅ、だってぇ…。




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