月が満ちるまで
自信はあるのか。
自分に問い掛けている。
昨日、今日現れた奴に虚勢をはるなんて。余裕なんてまったくない。
寝付けなくてパソコンをうろついていたせいで、目が痛かった。
コンタクトが入らず、メガネをかけている。シルバーフレームの軽いタイプだ。
それでもメガネのつるに挟まれて、軽い頭痛がしていた。
「それを決めるのは彼女だから」
渡辺の言葉が頭痛にともなって蘇る。
金井先輩が決めることじゃないから。
ああ……そうだ。僕の決めることじゃないさ。
ずっと見つめてきた。初恋だと言っていい。
好きな食べ物、好きな本、好きなドラマ…
何だって知ってる。
知らないのは、誰を好きなのかってことくらいだ。
高校からは今までとは違う付き合いかたができると期待していた。
風花の目に憧れでなく、恋に震える熱を見たかった。
風花だけは本当の僕を知っている。情けない僕を知っている。
家でなにかあるたび飛び出して、おばあちゃんのとこに家出した。
僕がおばあちゃんに話すのをじっと人形みたいに聞いていた風花。
その頃から、気になってた。
まだスタートラインだ。
なんとでもできる。