好きじゃないよ、君なんか。
目を瞑って5秒…
いや、10秒は経っただろうか
…あれ?
痛くない……?
ゆっくりと目を開くと
目の前には 栗色の少し伸びた前髪から
綺麗な顔立ちが見えた…
「…あ…おせ」
目の前にいたのは
私の大嫌いな青瀬……
「…いつまでこうしてんの?
重いんだけど…」
そんな青瀬の一言で
ハッと我に返る…
「あぁ、えっと…ありがと…?」
あたしを支える
青瀬から離れながらお礼を言う
…助けてくれたんだよ…ね?
「別に。」
もっと笑顔で
"いいよ"
とか言えないのか、こいつは…
そう思いながらも
助けてくれたんだ
そんなことは言えない…
やっぱり、愛想のないやつなんだな…
「…行かなくていいわけ?」
「へ?」
思わずマヌケな声が出てしまった
「足滑らせるほど
急いでたんだろ?」
「あぁぁぁぁぁ!!!そうだ!
バイト!給料カットされる!!!」
あたしは急いで靴箱に向かう
「…変なやつ」
そんな事を言う
青瀬の言葉なんて聞こえない勢いで…