好きじゃないよ、君なんか。




今日だって
家庭科室の窓から
ボールが入ってしまって


取りに行くと



友達に熱心に話をしている
あいつを見かけた。



後ろから近づいていくと




「あの人を馬鹿にしたような顔!
ほんとむかつくー‼︎ 」



とか言ってるから
そっと後ろから手を回して



「誰がむかつくって?」



そう耳元で囁くと



「だから!あの青瀬だって…ば…?」


目を丸くしながら驚いた様子で
俺の方を見る。



「…な、なんで‼︎ 青瀬が…ここに⁈」



焦っているのか
俺から離れながら少し早口で言う



「お前に会いに来たとか言ってみる」



そんな俺の言葉に反応して
口をパクパクさせる。



本当に見てて飽きねぇ。



「あ、あたしは会いたくない‼︎」



また早口で後ずさりしながら言う



「ざんねん。冗談。

そこのサッカーボール取って。」



そう言うと
近くの子が俺にボール手渡してくれた。



その子の方を見ながら

「どうも。」

そう一言言って


俺は家庭科室から出た。



運動場に戻ろうと歩いていたら
少し遠くの家庭科室から



「青瀬のばかやろーーっ‼︎」



そんな声が聞こえた。



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