好きじゃないよ、君なんか。
「あたしは人間だっての‼︎
それに ポチって名前じゃないし!」
あたしも 青瀬を睨みつけながら
勢い良く立つ。
「だって俺、
お前の名前知らない。
それに、お前 俺の家の犬に似てるし」
名前知らないからって犬扱い⁈
犬に似てるって…
なにこれ褒められてんの?けなされてんの?
「だからかな。
何か、お前見てるとほっとけない。」
ドキッ…
高鳴る心臓が
うるさく鳴り響く…
そんな真剣な目で
あたしを見つめないでよ…
「…あたし、犬じゃないし。
香坂 綾乃っていうちゃんとした名前が…」
俯きながら力無い声で言う。
何で あたしが青瀬なんかに
ドキドキしてんのよ…
「…香坂」
「な、なに…?」
「顔真っ赤。」
ニヤッと笑う青瀬の顔は
むかつくほどに かっこよかった。
「やっぱり、青瀬なんて大嫌いだーーっ‼︎‼︎」
そう叫んで
あたしは青瀬から逃げるように走った