14年目の永遠の誓い
夏休みに入ってからは、それまでの冷夏がウソのように太陽が照りつけ、毎日35度を軽く超える猛暑が続いた。
終業式翌日の花火大会までは割と元気にしていたハルも、その翌日には体調を崩し、更にその次の日からは予定通りに毎年恒例の夏休み検査入院。
入院二日目。
ここ数年、心臓以外の数値もあまり良くないハルは、夏の検査入院ではかなりの量の検査を受ける。
だから、オレはハルが病室にいる時間に決め打ちで病院を訪れる。
別にハルが戻るまでずっと待っていても良いけど、自分のことは気にしなくて良いから好きなことをしていてって、ハルが気にするから。
……と言って、じいちゃんからハルの検査スケジュールも入手した。
「ハルー、おはよう」
ベッドの上のハルの顔色はあまり良くない。
検査入院なのか、体調不良での入院なのか分からなくなりそうだ。
だけど、何はともあれ入院中。オレの役目はハルを心配することよりも、少しでもハルの気持ちを明るくすること。
「おはよう、カナ」
ハルはオレの顔を見ると嬉しそうに笑顔を浮かべ、ベッドを起こした。
「ハル、写真持ってきたよ」
「何の?」
「はい。見てみて」
リュックから小さなポケットアルバムを取り出し、ハルに手渡す。
「わ、綺麗なアルバム。ありがとう!」
ただのポケットアルバムだけど、表紙に葉っぱと木漏れ日の写真があしらわれているものを選んだ。
「気に入った? 良かった。ハル、好きそうだと思って」
オレが得意げに言うと、ハルは「うん。好き」と嬉しそうにほほ笑み、アルバムを開く。