14年目の永遠の誓い
酸素が足りなくなっているのは本当で、あんまり良くないのも本当で……。
だけど、救急車で運ばれるのは嫌だった。
そこまでの状態でもないのは、自分でもよく分かってる。
「どうして欲しい? どうすれば楽になる?」
田尻さんはわたしの背中をさすりながら、そう聞いてくれる。
きっと怖いと思うのに、わたしの意見を尊重しようとしてくれる。
「ごめん。しゃべるなって言っておいて、聞くなよって感じだよね?」
田尻さんの苦笑い混じりの言葉に、震える手で、バッグの中から携帯電話を取りだした。
「……おばあ、ちゃ、……呼んで」
「おばあちゃん? その名前で入ってる?」
「……ん」
「あー、ガラケー、どうやるんだっけ?」
そう言いながらも、田尻さんはカチカチと迷わず操作する。
「迎えに来てって言えば良い?」
「……ん」
じき、おばあちゃんが出たのか、田尻さんが話し出した。
「あ、すみません。わたし、陽菜さんの友だちの田尻麻衣って言います」
ごめんね、こんな面倒なこと、頼んで。
「陽菜さん、今、うちにいるんですが、具合が悪くなってしまって……」
こんなはずじゃなかったのに。
少し前まで、とっても楽しかったのに。
「あ、はい、住所は……」
田尻さんがおばあちゃんに、この家の場所を伝え始めた。
これで、20分もしたら、おばあちゃんが迎えに来てくれる……。